財務省評価「防衛装備庁研究は実用化ゼロ」との東京新聞・共同通信報道への反論

署名くださった皆様(大学、日本学術会議)、代表です。用件は1件です。

1件目。掲題の新聞報道が東京新聞・共同通信で発信されました。悪意を感じる報道ですが、以下に詳細と反論を述べたいと思います。

防衛装備品の実用化「ゼロ」 先端技術の研究事業

2024年8月13日 16時39分 (共同通信)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/347257

 防衛装備庁が先端技術を活用して装備品など防衛分野の研究・開発につなげる二つの事業について、これまでに事業を踏まえて実用化された装備品がないことが13日、財務省の予算執行調査で分かった。事業を決定する際に活用方法の検討が不足していたり、装備品を使う自衛隊のニーズを十分に把握できていなかったりする可能性がある。

 2事業の2015~23年度の予算総額は計900億円超になっており、財務省は「目に見える効果を出していく必要がある」としている。

 2事業は、基礎研究や民間の先端技術を活用して、装備品の創出につなげる「橋渡し研究」と、その前段階として民生にも活用できる防衛分野の先進的な基礎研究を育成する「ファンディング制度」。

 橋渡し研究は、装備品開発を加速させるために20年度から始まった。研究が進めば試作などを検討している。関係者によると、実用化しても使わない可能性があると判断され、中止、中断した研究があったという。ファンディング制度は15年度に創設され、これまで165事業が採択された。

***以上引用

「ファンディング事業」とはもちろん、安全保障技術研究推進制度のことです。

「橋渡し研究」とは令和2年度から防衛装備庁が実施している、安全保障技術研究推進制度や他の研究から防衛装備品への応用を目的とした「死の谷」を超える研究助成制度です。

https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2023/pdf_oral_matl/14_1145.pdf

 ここで共同通信が色々ケチを付けていますが、改めて財務省の原文を読んでみましょう。

 https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2024/sy0606/29.pdf

ファンディング事業、橋渡し研究について、「コスト低減」「効率化」などを求めています。もちろん国税を使う以上無駄遣いは戒めるべきであり、コストカットが至上命題の財務省の言いたいことはわかりますが、お門違いともいうべきものです。

特にp. 3/3の④今後の改善点をお読みください。

「〇ファンディング制度の採択時等に、少なくとも、将来的に防衛目的での活用に繋がる潜在的可能性の評価を行うべき」

「加えて、ファンディング制度、橋渡し研究の両事業において、実際の運用側となる自衛隊のニーズと合致するものとなるよう・・・」

「防衛装備品に成果を繋げる視点のアウトカム指標を設定したうえで評価を行うべき」

 恐らく財務省の官僚は見てないと思いますが。

 皆様方、もう一度安全保障技術研究推進制度のホームページをご覧ください。

 https://www.mod.go.jp/atla/funding.html

「(中略)先進的な技術は、これまでの戦い方を一変させる可能性をも秘めていることから、防衛にも応用可能な先進的な民生技術を積極的に活用することが重要であると考えています。

安全保障技術研究推進制度(競争的研究費制度)は、こうした状況を踏まえ、防衛分野での将来における研究開発に資することを期待し、先進的な基礎研究を公募するものです。(後略)」

またさらに、令和6年度の募集要項をご覧ください。

https://www.mod.go.jp/atla/funding/koubo/r06/r06koubo_setsumei.pdf

p.4

「研究成果は広く民生分野においても活用され、あるいは学術的な研究が深められ、さらに科学的・技術的に発展していくことを期待」

「本制度では、特に、革新性を有するアイディアに基づき、科学技術領域の限界を広げるような基礎研究を求める。いわゆるハイリスク研究も推奨」

「既存技術や知識の実用化に向けた工夫等、応用研究や開発は対象外」

「新領域の開拓や新たな波及効果が期待出来る、革新的な目的志向の基礎研究を望んでいる」

***以上引用

 特に工学系の方ならわかるでしょう。安全保障技術研究推進制度の設立趣旨は、「幅広く厚い工学系の基礎技術を育成し、民生技術にも防衛技術にも応用可能な研究の可能性を広げる」ことであり、決して直接「〇〇年内に〇〇装備を開発する」のは趣旨ではないのです。

防衛装備品は、非常に広範で必要とされる技術も多いのです。基礎研究の基礎体力を充実させないといい装備品は開発出来ないです。 安全保障技術研究推進制度は直接的な兵器開発を意図するものではなく、工学の基礎研究の充実を目指すものです。

実用化は意識してはならないのです。10年で年間10数件程度の採択から、即座に実用化に結び付く研究が出てくる方がおかしいのです。 むしろ基礎研究の層を厚くすることが肝要です。

東京新聞・共同通信などはこれで制度を批判しているつもりかもしれないのですが、これの尻馬に乗って批判する人は、 【稼げる大学論】【事業仕分けの発想】そのままですからね

 今回は以上です。

また末筆で大変恐縮で有りますが、ウクライナの国民に一日も早い平和と自由がもたらされますよう、ただただ祈るばかりです。
Україна назавжди вільна !
ウクライナは永遠に自由です!
代表
***私たちの仲間にようこそ!心より感謝申し上げます! 
2017年2月12日に活動開始いたしまして7年余りが経過致します。
大学署名累計4,743筆(昨年12/20配信から1筆追加)、日本学術会議署名で累計5,666筆(6/7配信から46筆追加!!)のご署名がありました。一気に46筆追加とは驚きました。大々的にTwitterで拡散してくださったY様はじめ皆様達には心より感謝申し上げます。
新規にご署名くださった方々、ありがとうございました。ともに闘ってまいりましょう。今後も増やしてまいります!
①「すべての大学は、防衛研究(軍事研究)の自由を保障してください」 

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②「日本学術会議は防衛研究(軍事研究)禁止声明を撤廃、ガイドライン・倫理規定・審査規定の策定を中止し、全大学に防衛研究の自由を保証するよう勧告してください」
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