ワクチン開発・千人計画への正しい情報発信

 ご署名者・ご賛同者・ご支援者の皆様方には様々なご支援や意見発信をしていただき、心より感謝申し上げます。

 2017年2月より地道に活動してまいりましたが、防衛研究の問題は何といっても2020年10月の日本学術会議任命拒否問題で一挙にクローズアップされ、また時を同じくして千人計画などの経済安全保障の問題も報道・政府の対策も進みつつあり、風はこちら側に向いていると、安堵するとともに改めて皆様方に心より感謝申し上げます。

 TwitterなどのSNSでも様々なありがたい情報発信をお見受けし、嬉しく思います。

 ただ気になる点もございます。日本学術会議や千人計画への怒りのあまり、誇張ではないかと思えるような情報発信をされる方も見受けられます。千人計画もそうですが、特に国産ワクチン開発の遅れの問題に関しては、このコロナ禍のなかでは炎上を招きかねない、センシティブな話題です。

 ご意思は純粋にありがたいですが、慎重にしないと、我々やご支援者様の信用低下にもなりかねません。

 当会としても事実ベースで信用できる情報だけを発信していきたいと思っています。

 多忙が言い訳になってしまいますが、本当に発信が遅れて申し訳ありませんでした。

 愚直に事実ベースの発信を継続することが、我々のみならず多くの志ある方々の信用を高め、日本学術会議解体・民営化の世論を定着させ、政府・政治家の後押しが出来るものと信じます。

 大変失礼な物言いをご容赦ください。私も未熟ながら、日々正確な情報発信を心がけていただきたいと思いますので、何卒これからもご支援のほどよろしくお願いいたします。

 以下、①国産コロナワクチン開発遅延と日本学術会議の関係、②千人計画と日本学術会議の関係 について当会の結論を書いていきます。(2021.6.14)

日本学術会議問題 ①国産ワクチン開発との関係

<<結論>>

◆日本学術会議の軍事研究禁止声明や、憲法9条が国産ワクチン開発や接種の遅れを招いた直接の原因ではない。

◆ワクチン開発や接種の遅れの直接の原因は、

①政府の従前の研究開発資金の出し渋り、

②治験簡略化・迅速化やマイナンバー制度の活用の遅れ、ロジスティクスの弱さ、ワクチン忌避の世論やそれを煽るマスコミ報道など。我々も一国民として、真摯に反省する必要がある。

③感染症対策が国家の非常事態だという危機意識が、政府にも国民にも、もちろん学会にも欠落している。防衛・防災も含めた国家安全保障の概念が政府にも、国民にも、もちろん学会や日本学術会議にも欠落している。「国家安全保障」と言う言葉自体に拒否反応があるのか、国や国民を守るために必要な措置を積極的に取らない(取らせない)雰囲気を醸成してしまっている.

◆日本学術会議は、コロナワクチン開発に関しては主犯ではないが足を引っ張る行為を行っている。

 ①国立帯広畜産大学は、平成30年7月に、防衛装備庁の研究をめぐり、「軍事研究禁止」声明を出している。もちろん日本学術会議声明の影響を受けている。同大学にはコロナウイルス、インフルエンザウイルス防疫などの研究をしている研究者もいる。防衛・安全保障においても防疫は重要であり、このような措置は防疫に対する研究助成の選択肢を奪う結果になる。

 ②平成30年度安全保障技術研究推進制度の応募テーマに「バイオセンサー用分子素子」があった。これが採択され実用化していたら、日本のコロナウイルス検知が加速・効率化に寄与できたであろう。

◆軍事研究禁止声明の撤廃や憲法9条の改正をすればコロナウイルス対策が進んだというわけではない。順序が違う。むしろ大事なのは、国民の間に国家安全保障、つまり国家存亡からいかに国を守るか、という意識がしっかり根付くことである。そうすればウイルス対策も進み、軍事研究禁止声明撤廃や憲法9条改正は容易に行われるだろう。

<<その他補足>>

◆米国は国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)、保健福祉省傘下の生物医学先端研究開発局(BARDA)が国家安全保障の観点から、民間企業に研究開発支援を行っており、それが迅速なmRNAワクチン開発に結実した。(資料2.より)

◆国防はもちろん、大規模テロ、大規模災害、そしてパンデミック。これらはかじ取りを誤ると国家が滅亡し多数の死傷者が出る、国家安全保障の問題である。

 想定外は許されない。

 さて、「選択と集中」「無駄をなくす」ことに慣れ切った日本国民は、こうした一見無駄に見える、役立たずかもしれない、しかし必要な時がいつか来るかもしれない研究に予算を費やすことを許容するだろうか?

◆2010年6月の、新型インフルエンザ流行を受けたワクチン製造業者への支援や研究開発基盤の強化などの、有識者会議の提言を政府は生かせなかった。(資料8.)

◆反対派の旗振り役、東京新聞望月記者がモデルとされる映画「新聞記者」では、内閣情報調査室が出てきたり、政府による加計学園獣医学部認可の真の目的は生物兵器開発である、などということを示唆する内容であったという。こうした印象操作も罪深いものである。

◆東日本大震災や福島原発事故などの、平時ではない、有事、騒乱状態、国家存亡の危機。ここにはどうしても軍隊・自衛隊が出番となる。一部の左翼の唱える、災害救助隊などお呼びではない。軍隊(自衛隊)が消防のレスキューなどと根本的に違う点。それは自己完結能力が備わっていることである。

インフラが破壊され、指揮系統が破壊され混乱し、武装集団が襲撃する。水も電気も通信も道路も空港も使用不能。

このような異常事態に独力で対処可能なのは軍隊・自衛隊だけである。武装集団には歩兵部隊や戦車部隊、航空部隊や砲兵部隊が立ち向かい、道路は施設部隊が啓開、電気も施設部隊、水は補給部隊、医療は衛生部隊。これを一元管理できるのは軍隊・自衛隊だけ。

<<参考資料>>

資料1.

日本のワクチン開発が遅れているのは軍事研究を禁止したから?軍学共同反対連絡会

http://no-military-research.jp/wp1/wp-content/uploads/2021/04/NewsLetter_No54.pdf

資料2.

ワクチン開発には国家安全保障の観点が必要だ

https://vpoint.jp/reporterview/205812.html

資料3.

国産ワクチン、なぜ出てこない?塩野義・手代木社長に聞く:日経ビジネス電子版

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/032600173/

資料4.

日本が「ワクチン開発競争に負けた」納得の理由 | ニューズウィーク日本版 | 東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/articles/-/391283

資料5.

<新型コロナ>国産ワクチン、3年前に治験直前で頓挫

東大・石井教授「日本は長年、研究軽視」のツケ今に:東京新聞 TOKYO Web

https://www.tokyo-np.co.jp/article/95790

資料6.

WEB特集 ワクチン接種 なぜ日本は遅い?【前編】 | 医療 | NHKニュース

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210513/k10013026071000.html

資料7.

WEB特集 ワクチン接種 なぜ日本は遅い?【後編】 | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210514/k10013026081000.html

資料8.

「医療先進国」のはずの日本、なぜ遅れる国産ワクチン開発…技術育てず「蓄積」なし

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210413-OYT1T50210/

資料9.

米英、柔軟なワクチン接種 競技場など活用 予約効率化

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB161460W1A510C2000000/

日本学術会議問題 ②中国の千人計画との関係

<<結論>>

◆日本学術会議の公表資料の中には、中国科学技術協会との協力覚書締結、という資料だけが公開され、その後の具体的な活動は公表されていない。確かに資料1.の言うとおり、日本学術会議による具体的な反日活動の根拠ではない。日本学術会議も偉そうなことを主張するなら、すべて公開するのが本筋だと思うのだが。悪魔の証明になるか?自ら開示しろと思うが。

◆しかし、遠藤誉氏の言うとおり(資料5.)、中国科学技術協会は中国工程院(国務院・中国政府直属のアカデミー)と2013年に提携。中国工程院は中国人民解放軍傘下の軍事科学院と人的交流が盛んである。

同記事にあるとおり、資料4.(日本学術会議・中国科学技術協会 協力覚書)には、「両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う。」とある。普通に読めば、研究者の相互交流に実施としか読めない。これを、2015年に締結後6年間、どんな交流があったのかは不明である。

 日本学術会議が結んだ協力覚書は、結果として中国科学技術協会や中国工程院の身分を隠れ蓑にした軍事科学院研究者と人的交流や情報交換につながった可能性は排除できない。推測でしかないが。

 駐在武官を除き、スパイがスパイだと堂々と名乗るわけがない。共同研究者、教え子、ビジネスパートナーとして接触し、まずは人的交流、雑談、人間関係や個人情報の把握をし、情報機関に報告しリスト化し、手当たり次第に、金銭授受や脅迫や技術交流などを通じて情報や技術を盗むことはあり得る。しかも日本学術会議会員・連携会員は学会の重鎮クラス、各大学の学長や理事もたくさんいるのだ。人脈を築くには宝の山であろう。

各大学との共同研究というアプローチだけでなく、日本学術会議経由のアプローチも、確証はないが可能性としては十分ありうる。

確証はないので強くは主張できないが、押さえておくべきことだろう。

◆主張するなら以下の様なものになる。

「日本学術会議・中国科学技術協会は2015年に協力覚書を交わした。同覚書には「両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う。」とある。中国科学技術協会は中国工程院と交流し、中国工程院は軍事科学院と人的交流が盛んである。日本学術会議会員に軍事科学院の人物が接触してきた可能性はグレーではあるが、排除できない。覚書締結後6年間もたっているのだから。」

◆これは日本学術会議も反対派も沈黙しているが、防衛装備庁への研究は禁止声明(大西元会長は禁止でなく各大学の任意と強弁しているが、あの文面は事実上の禁止だ)しておいて、各大学の千人計画参加者44名(それ以上?)に対して、何の声明も発しない。

 これはダブルスタンダードである。

 日本学術会議としては、黙って逃げの一手しかないのだろう。

◆中国は今や、日本の平和・安全保障上、最大の懸念国家であり、人権侵害を行っている国と言って差し支えない。そのような国と学術交流を行う意味を再考する時期に来ているのではなかろうか? 無論、中国との学術交流を全面的に停止するのは無理である。しかし平和・安全保障上の問題、人権侵害の問題も無視できない。どのような選択をすべきか、学術会議にはその答えが期待されているはず。

<<参考資料>>

資料1.

ファクトチェック:学術会議、中国との活動「覚書どおりに開催」は誤り

https://mainichi.jp/articles/20201017/k00/00m/010/110000c

資料2.

学術会議が千人計画に協力は「悪質なデマ」 甘利氏がブログ訂正も誤情報が拡散

https://www.tokyo-np.co.jp/article/62281

資料3.

「悪質なデマ」学術会議批判に大西元会長が反論 野党ヒアリングに出席

https://www.sankei.com/politics/news/201016/plt2010160001-n1.html

資料4.

日本学術会議・中国科学技術協会 協力覚書

http://www.scj.go.jp/ja/int/workshop/abstract.pdf

資料5.

「日本学術会議と中国科学技術協会」協力の陰に中国ハイテク国家戦略「中国製造2025」(遠藤誉) – 個人 – Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20201009-00202299/

資料6.

「千人計画」の真相――習近平の軍民融合戦略で変容(遠藤誉)

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20201022-00204171/

資料7.

中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会議研究者たち(遠藤誉)

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20201019-00203553/