防衛研究・軍事研究・デュアルユース研究に反対する人達は、しばしば「研究倫理」を援用して悪と決めつけ、規制しようとします。
研究倫理とは、論文の改竄・不正防止、利益相反防止や生命科学研究倫理などを含みます。
科学者の行動規範 (日本学術会議 2013年改定)
科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得- (日本学術振興会) p.28~p.29
(科学研究の利用の両義性)
6 科学者は、自らの研究の成果が、科学者自身の意図に反して、破壊的行為に悪用される可能性もあることを認識し、研究の実施、成果の公表にあたっては、社会に許容される適切な手段と方法を選択する。 (科学者の行動規範 p.6)
明記されているのはたったこれだけであり、非常に議論の余地があります。
以下、月刊正論2022.10月号 p.264「軍民両用研究禁じる科学者たちの欺瞞 (国立大学教授・押上進翔氏)」を引用します。
~引用開始~
これだけの記述では具体性に乏しく、どのように対応すべきか分からないのが実情だ。しかしこれには致し方ない面もある。ほとんどの科学技術というのはデュアルユースであるため、科学技術の発展と軍事利用は密接不可分の関係だからだ。デュアルユース研究だからといって、むやみに研究活動を制限することは、研究者を萎縮させ科学技術の発展を阻害することになりかねない。デュアルユース研究の是非を、研究倫理の観点から議論することは極めて難しい話なのである。
~引用終了~
また最近は従来の外為法などの安全保障輸出管理だけでなく、経済安全保障の観点からも活発な議論がなされています。話は非常に複雑になっています。
単純な決めつけは科学技術の発展にとり有害無益です。活発な議論が必要です。
「軍事研究を哲学する」(昭和堂)
この本が、議論を深める一つの助けになる事でしょう。