防衛研究問題 FAQ

最終更新日: 7月 28, 2020 @ 2:24 午後

Q1:安全保障技術研究推進制度は、兵器を作る研究なの?

A1: 直接兵器を作るための研究に助成する制度ではありません。

安全保障技術研究推進制度は科研費や経産省の助成金と同じく、広く工学全般分野における基礎研究に対する助成制度です。応募する課題は、防衛装備庁が関心を持つ技術課題ですし、その成果が防衛装備品に応用されることはあり得ます。

しかし、必ずしも研究成果が、防衛装備品に使われるとも限りません。

Q2:安全保障技術研究推進制度に応募すると、研究成果は特定秘密になるの?

A2: 安全保障技術研究推進制度の募集要項には、研究成果は特定秘密に指定しないと明記されています。公的資金の募集要項も公的文書であり、防衛装備庁もそこに書かれていることを遵守する義務があります。

Q3:安全保障技術研究推進制度に応募すると、国や自衛隊が研究に介入してきて、監視や介入されたりするの?

A3: 安全保障技術研究推進制度には、プロジェクト・オフィサー(PO)制度というものがあり、防衛装備庁の職員が、採択された研究課題の進捗管理を行います。このPO制度は、他の官公庁系の研究助成金でも広く取り入れられています。

研究課題の中身に関しては、応募した大学の研究者の方が一番の専門家であり、防衛装備庁の担当者の方は、技術的な素養を持っている方であっても、研究課題の専門的な見識は持ち合わせていません。従って、研究をどのように進めるかは、一番の専門家である応募者でしか判断できません。

公募資料によれば、POが介入する場面というのは、研究費の不正使用を防止する場面のみと書かれています。そのことからPOが出来る業務は、会計監査のような業務と思われます。

Q4:どうしたら研究を殺人兵器に転用を防げるの?

A4: どんな科学技術も兵器に利用できる以上、研究成果を殺人兵器への転用を防ぐことは不可能に近いと考えられます。但し幾つかの方策は考えられます。

その一つが、「外国為替及び外国貿易法」(通称:外為法)といった国内法やワッセナー・アレンジメント等の国際的枠組みを通じて、軍事転用可能な技術が日本国外に流出するのを防止することです。海外に流出してしまうと、研究成果がテロ支援国家、テロ組織、紛争当事国、及び日本に安全保障上の危険を及ぼす国にも流出する可能性があり、それこそ容易に戦争で使用されることにもなりかねません。

ここで述べる流出を防止すべき技術情報とは、研究成果を記した学術論文ではなく、実際の製品の設計図、設計データ、製造技術などが該当します。一般的に基礎研究で得られた成果を元に、様々な製品の設計・製造が行われます。研究成果を学術論文で公表しても、製品となる兵器の生産には、設計や製造に関わる情報が必要になります。そのため、それらを流出させないことで、不必要な研究成果の軍事利用を防ぐべきと考えます。

なお、防衛関係機関からの研究資金を規制すること(通称:入口規制)は、研究成果の軍事利用防止には何の貢献もしません。

あくまでも研究成果に基づいて得られた技術情報の管理が求められます。

Q5:防衛のための兵器なら研究していいの?

A5: これは、皆様の信条や良心の問題になるでしょう。当会では個々人の信条・良心に踏み込むような言及は極力避けたいと考えています。ですが、私たちの住む社会が、個人の信条・良心が尊重される社会であって欲しいと考えます。

Q6:防衛の兵器でも、こちらが武装すれば、周辺諸国もさらに強い武装をする、軍拡競争になるのでは?

A6: そのような事例は、歴史を紐解けば数多くあります。「安全保障のジレンマ」(Security dilemma)と呼ばれます。

 しかし、現在の日本周辺には当てはまりません。日本以外が軒並み軍拡している、アンバランスな状況です。

日本はこの30年間、4~5兆円で前後しています。

 しかし中国はこの30年間で60倍に国防費を増加させています。

 2019年の国防予算だけ見ても対2009年比で、日本が1.06倍なのに対し、ロシア2.62倍、中国2.52倍、韓国1.61倍となっています。

Q7: 日本の軍拡で、戦争の危機が高まるのではないの?

A7: 軍事力のバランスを維持し、睨み合いを続けることで、全面戦争になることを防げます。

 戦争が起こるメカニズムには諸説ありますが、有力な説が「侵略国が被侵略国の反撃の意図を過小評価したために戦争が起こる」というものです。具体例としては、朝鮮戦争です。当時の米軍の不退去防衛線「アチソン・ライン」に朝鮮半島が含まれていなかったため、北朝鮮は米軍の介入はないと誤認したため、韓国に侵略したのです。

Q8:民生技術や人道的技術と、軍事技術って何とかして分けられないの?

A8: 科学や技術は普遍的なものであるからこそ、民生用・人道的技術と軍事技術は分離することが出来ません。例えば、地雷探査技術は、戦後復興期に使えば、民生技術・人道支援になりますが、戦時中に使えば、進撃する味方部隊を支援する立派な軍事技術になります。どちらも同じ技術、同じ製品であっても、状況次第で捉え方が全く異なります。

分けられないからこそ、現実を冷静に捉える態度が求められると考えます。

Q9:軍事力にかけるお金は税金の無駄ではないのか?

A9: 無駄金に終わることが理想です。

 軍事力は抑止力が効いた睨み合いが続くのがベストです。逆に軍事力が大活躍する時代とは、イコール戦争です。

 掛け捨て保険が無駄金に終わる、自衛隊だけでなく警察や消防が大活躍せずほとんどムダ金で職員が暇になる。このほうが、世の中が平和である証です。

 軍事力を維持向上させていかねば、「睨み合い」さえ続けられません。つまり、戦争になるのです。

Q10:  TRLって何?

 A10:  科学技術の基礎から応用までのレベルを1~9までの9段階で表した指標です。技術成熟度レベル(Technology readiness levels ,TRL)といい、NASAにより提唱されました。最も基礎的な研究がTRL-1,TRL-2、実用化の最終段階にあるものをTRL-8,TRL9で表します。
 安全保障技術研究推進制度で研究する大学の研究はTRL-1~3程度、防衛装備品を実用化する防衛産業・防衛装備庁が行う研究はTRL-7~9程度です。
 大学はTRL-1~3程度しかタッチしません。

Q11:  なぜ防衛省(防衛装備庁)が民生用の基礎研究を支援するの?やはり兵器開発が目的なのでしょう?

A11: 民生技術のレベルや裾野が広がれば防衛装備技術の応用の可能性が広がるからです。これらの基礎研究の成果は,もちろん将来的な防衛装備品への応用も期待してはいますが、何にも応用できない外れかもしれないし、全く予想もしていなかった民生技術分野への応用の可能性もあります。

また、生み出された技術をいきなり防衛装備品に応用するというより、新技術を民生技術として積極的に活用してもらい、改善や信頼性向上、及び低コスト化を進めた後に、防衛装備品に利用するということも企図しています。民生技術と軍事技術を往復する、まさにデュアルユースです。